「動物再生医療の実用化を通じて動物とヒトの幸せを追求する」Vetanic ~後編~
2023年12月15日
- Interview
ペット業界の未来を拓く、QAL経営
人々とペットのより豊かな暮らしをつくるために多方面から奮励する方々をゲストにお迎えし、その活動や事業への想いを紐解いていくインタビューシリーズ。
今回は動物向けのiPS細胞由来再生医療等の製品開発を行う会社Vetanic(ヴェタニック)の代表である望月昭典さんと同社社外取締役の枝村一弥先生にお話を伺いました。スペシャル版として前後編に分けてお届けいたします。
【テーマ】
・前編
●「動物再生医療の実用化を通じて動物とヒトの幸せを追求する」Vetanic
●Vetanicとは何か? 枝村一弥と望月昭典の出会い
・後編
●iPS細胞で何が変わるのか? 再生医療が身近になる?
●チーム作りと役割。そしてこれからのiPS細胞の未来
【前編】はこちらからご確認ください▼
https://www.biz.qix.co.jp/knowledge/69
【後編】
■iPS細胞で何が変わるのか? 再生医療が身近になる?
インタビュアー:私もiPS細胞が発表された時に夢中になって山中伸弥教授の記事を読んでいました。動物はヒトと同じやり方ではiPS細胞はできないとある記事で目にしたのですが、どのように想像して、どうやって導き出したのですか?
枝村:ヒトは「山中4因子」(iPS細胞を作製する際に導入する4つの遺伝子)でiPS細胞ができます。しかし、イヌではできないので色々な組み合わせを試してiPS細胞ができる遺伝子セットを見つけました。イチから全てを試すのは厳しいのでAの動物で行ったことと、Bの動物で行ったことを融合させるなど、ある程度狙いを定めて試行錯誤していきました。偶然にも、イヌだけではなく、他の動物にも使える遺伝子セットを見つけることができたことはとても幸運なことだと思います。研究者には運が必要だと言われます。もちろん運の裏付けにどれだけアカデミックなことを行ったのか、研究をしたのかはありますが、ここに至るまでの人との出会いや技術のスピード感は運が重なり合っていたと思います。
インタビュアー:今はどのような製品、領域を行っているのでしょうか?
望月:すでに実用化されている再生医療には、間葉系幹細胞(MSC)があります。他社にも同じものがありますが、他社は動物の脂肪から取っているのに対して、私たちはiPS細胞から取っているのがポイントです。